MEGAFON(メガフォン)が初の音源となるアルバム『バカデカボイス』を6月2日にリリースした。MEGAFONは元iLiFE!メンバーの向日えながプロデューサーを務めるHEROINESの新生アイドルグループ。4月27日のHEROINES FESでお披露目され、快活なパフォーマンスと新人ながら確かな実力で注目を集め始めている。本稿ではそんなMEGAFONの記念すべき初リリースである『バカデカボイス』収録の全7曲をレビューしつつ、昨今のアイドルソングのトレンドの中にあるiLiFE!やHEROINES的楽曲スタイルの位置付けについても考察する。
変拍子、言葉遊び、ひたすらカニ!?遊び心溢れるアイドルポップ
M1. えんじょいなす!
学校のチャイムの音をモチーフに展開する爽やかな楽曲。3・3・7拍子や2・3・4拍子と言われる応援のリズムを取り入れており、振り付けにも応援団を思わせるものがあるなど、「メガフォン」から連想される「応援」をテーマにした楽曲である。随所にあしらわれたブラスサウンドと明るいメロディーで聴きやすいアイドルポップスに仕上がっているが、Bメロでさらりとテクニカルな変拍子が差し込まれているのが面白いところ。このBメロのメロディーとバックトラックがチャイムのメロディーになっていて、イントロで提示されたものが再び現れる構成になっているのも洒落たポイントである。
M2. シャウト・シャトル
ゲーム的な電子サウンドが印象的な快速ソング。宇宙旅行のイメージとグループの展望を重ね合わせた夢溢れる歌詞になっており、〈ロックオンして録音〉のような肩の力が抜ける言葉遊びも耳に残る。Bパートがラップになっており、ここでビートを落としてから一転急速にサビへ向かう構成もリスナーのテンションをしっかり上げてくれる。
M3. カニピース
一度聴いたら忘れられなくなるカニの連呼。細かく説明するのも無粋なので曲を聴いてほしいと言いたいところではあるが、敢えて偏差値を下げまくった歌詞かと思いきや、ジャンケンをモチーフにしつつ〈ゆーて現代は勝ち負けじゃない!〉と開き直るスタンスなど細かいところに令和時代的なメッセージが込められていることに注目してほしい。カニ→チョキ→じゃんけん、カニ→ピース→世界平和、カニ→さるかに合戦、と連想ゲーム的なモチーフ展開も緻密で、実は細かく計算されて出来上がっている意味不明さが魅力。