AsIs(アズイズ)。2024年3月デビューの7人組で、アイドル経験のある女性プロデューサー・ななむぎが手がけている新進気鋭のグループだ。デビュー1年目の9月からいきなり王道系ライブアイドルのメインストリーム的イベントであるMARQUEE Fes.(東京・O-EAST)に出演。今年3月には白金高輪SELENE b2での《1st YEAR ANNIVERSARY LIVE》を成功させ、さらに4月からは主催ライブ「もしもの世界」とMARQUEE祭のジョイントイベント「MARQUEE祭×もしもの世界」をMARQUEEと継続的に共催しているなど、2年目のグループとしては顕著な活躍が目立つ。今回はそんなAsIsの結成経緯を振り返りつつ、グループの魅力に迫る。
AsIs結成までの経緯
AsIsのプロデューサーである「ななむぎ」は、アイドルグループOn the treat Super Season(OSS)のメンバー・麦として2023年6月まで活動した経歴を持つ。卒業後、2023年8月29日に新アイドルグループのプロデュースを行うことを発表。オーディションの様子はななむぎの個人アカウントから随時報告され、結成されたのがAsIsだ。運営しているのはライバー事務所ONECARATを運営するAEGIS GROUP。アイドル事業にはAsIsからの参入のようだ。
2024年2月1日、TikTokにて「バレンタインに正体を明かす美女」と題して狐面をつけた1人の私服の女性がダンスする動画を投稿。続く動画では徐々に画面内の人数が増えていき、2月8日にはiLiFE!「アイドルライフスターターパック」の音源を使用して「実はアイドルです」と明かす。さらにグループ名を発表した後は2月17日までに1動画で1人ずつ順番に覆面を外して素顔を明かす、というティザー(焦らす)方式の情報解禁を行った。
グループ名のAsIsは英語の成句で、「現在の状態」を意味する。ビジネス用語としては「あるべき理想の状態」を意味する「To Be」と対比され「理想とのギャップがある現状(の把握)」といった文脈で用いられるのだが、グループとしてはこれに「ありのままの姿でいい。」というポジティブな意味を持たせているわけだ。
TikTokでのティザー情報解禁やその後の積極的なSHOWROOM配信といったプロモーションも功を奏し、3月29日に行われた恵比寿CreAtoでのデビューライブは完売。グループ活動は順調な滑り出しとなった。
メンバーは雨野 せい(あめの せい)、北川 姫子(きたがわ ひめこ)、瀬乃 ひより(せの ひより)、星野 夢空(ほしの ゆあ)、南 世菜(みなみ せな)、桃井 美月(ももい みつき)、山城 虹奏(やましろ にいな)の7人で、星野以外の6人はアイドル未経験の初心者だ。
「坂道」大好きなプロデューサー手掛けるAsIs楽曲の魅力
ななむぎがかつて所属したOSSはデジタル×ハードコアでどちらかといえば激しいライブスタイルのグループなのだが、本人のアイドル・ルーツは坂道グループにある。元々生粋の「坂ヲタ」を自称し、趣味として坂道の衣装コスプレ写真をSNSに投稿するなどもしていたななむぎは、欅坂46「サイレントマジョリティー」が「人生を変えた1曲」であると語っている。
そんなななむぎが作詞を手掛けるAsIsの楽曲は、確かに欅坂46を思わせるような反体制的な反骨精神と、人を内面から鼓舞するような静かで熱いエネルギーに溢れている。しかし実は、単に歌詞が作風の影響を受けているというだけではない。デビュー楽曲の一つ「ありのままの姿」を始め、一部楽曲のサウンドプロデュースを「サイレントマジョリティー」の提供で知られる作曲ユニット・バグベア本人が手がけているのだ。
「ありのままの姿」で歌われる〈「なるべき姿」にならなくていい〉というフレーズは、上述したビジネス用語としての「AsIs / ToBe」の用法へのアンチテーゼだ。
この提供が実現したのは、ななむぎがバグベア・こぎみいいの妻と友人であるという縁によるもの。デビュー当初ななむぎは「デビューに際して特別に」と語っていたのだが、以降、代表曲「きみの好きを否定なんかしない」を筆頭に、1年にわたって多数の楽曲をバグベアが提供している。本家坂道のサウンドに、坂道をこよなく愛するプロデューサーの作詞が乗り、単なる“憧れ”に留まらない正統フォロワーと呼べる強度を持っているのがAsIs楽曲なのである。
ちなみに、振付も乃木坂46「Route 246」「ジコチューで行こう!」などを手がけた松岡篤志が担当している。
「きみの好きを否定なんかしない」MV
「きみの好きを否定なんかしない」はグループコンセプトにもなっているフレーズで、ありのままの自分を肯定するという力強いメッセージソングになっている。2025年現在の主流である「かわいい系自己肯定感曲」とは楽曲の雰囲気が全く異なるが、新自由主義的な自己責任論やSNS社会という時代性の中で広がる人々の不安、閉塞感に対抗し、「自分自身」をエンパワメントしていこう、というテーマ性には共通点が見られると言えよう。
