バズの要因となった“汎用性”とフォーマットの強み
「チェキ、写メポーズ集」シリーズの引用投稿を見ていると、実はその需要はアイドル・アイドルファンからにとどまらないことが分かる。投稿が拡散されるにつれ、コスプレイヤー同士の「合わせ *1」の撮影や、友達同士のプリクラ、さらにはVRアバター同士での記念撮影にまで「ポーズ集」を活用している投稿が現れた。このように、アイドルの界隈を超えて広がるポテンシャルを持った汎用性の高さが、このシリーズの継続的なバズの一因であるといえよう。
*1 複数人で集まって同じジャンルのキャラクターのコスプレをすること。
さらに、ユーザーのリアクションを見ていると、その人気の要因は単にポーズ集としての実用性だけではない。9×9のグリッドに2ショット写真を配置、それぞれの写真にはポーズのタイトルと装飾を「らくがき」するという“フォーマットそのものの可愛らしさ”にも一定の需要があることが見えてくるのである。特に、コスプレ撮影やプリクラなどアイドルの特典会以外の(自由に「らくがき」ができるシーンでの)利用例においては、「ポーズとらくがきお借りしました」というコメントが散見される。全てのポーズを撮影してポーズ集全体を再現するという「チャレンジ」的な側面もあるなど、真似したいという意欲をかき立てる要素が随所に備わっているのもポイントであろう。
こうしたフォーマットのバズには一定の再現性もあるようで、最近では夜光性アミューズの水萌しゅるが同グループの白空こあいとともに撮影・投稿したものが万バズを記録している。
TikTokでの楽曲バズがヒットへのスタンダード戦略となっている昨今。需要が高く、かつ「真似したい」と思わせる要素のあるコンテンツを継続的に供給することで、UGC (User Generated Contents)の展開を促すことができるというのは、TikTokの方法論にも通じるところである。こうした「お役立ちコンテンツ」をアイドル側から発信することも、アイドルの知名度アップ戦略の新たな道の一つとなるかもしれない。