situasion(現・SITUASION)が2023年末にリリースしたコンセプトアルバム。「The immortal envy club」は同グループのファンクラブの名称ともなっており、2023年12月30日の結成3周年記念公演《A FIRST DAY the immortal envy club “GENESIS”》(東京・O-EAST)を皮切りとして東京・大阪・ベルリンで開催されたワンマンライブ《the immortal envy club》シリーズの世界を表現している。
今作はsituasionメインコンポーザーである磯野涼に加え、アルバム『amputasion』を手がけた四市田雲豹が共作に入っており、これまでの磯野単独による作品とは異なる聴感に仕上がっている。
楽曲のタイトルは全てアルファベットの特定の1文字を形が似たアラビア数字に置き換える「リート(LEET)表記」と呼ばれる特殊な記法で書かれており、1から6までの計6曲を収録。歌詞中にタイトルの数字と同じアルファベットが登場する際は、同様に対応するLEETに置き換えられている。また、ワンマンライブシリーズ大阪編となる《A SECOND DAY the immortal envy club “GENESIS”》(Yogibo META VALLEY、2024年4月6日)に合わせて本アルバムのストーリーの続編にあたる楽曲「secre7arys」もリリース。
トラックレビュー
「Bel1ever」(Believer)は軍隊行進曲的なドラムのリズムから始まる荘厳なオープニングナンバー。ワンマンライブ《the immortal envy club》でもオープニングを飾った。
「2nvy」(envy)はsituasionが得意とするダークな空気感を纏った四つ打ちダンスミュージックで、クライマックスで放たれる増田葵奈による〈消えてしまいたい〉というフレーズの絞り出すような歌唱表現が白眉。
「THE 3ARTH」(THE EARTH)では童歌のような独特のムードが漂いつつも、創生と選別というストーリーコンセプトに沿って不穏な空気が強まっていく。
「N4ME」(NAME)は一転してロックサウンドが前面へ。ポリリズムで変拍子を感じさせつつも実は全編一貫して4の倍数で進行している奇妙な構成もまたsituasionらしさだ(他に「さよなら21世紀」など)。
「5od」(god)では、ここまで断片的な繰り返しの多かった歌詞の構成が物語調に傾き始め最後の6irdに繋がる。イントロのシンセフレーズは半音進行を多用した無調的な性格のメロディーラインになっており、「神」をモチーフとする楽曲の不可侵性を演出している。
「6ird」(bird)はsituasion全曲中でも一際異なる雰囲気を持った静謐なバラードソングで、ときに激情に呑まれつつも、美しくも哀しい諦観と慈愛をもって静かにストーリーを閉じる。